~ハイパフォーマンスとスマートなエネルギー利用を両立する電気自動車~
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電気自動車の研究開発を行う株式会社SIM-Drive(本社:川崎市、社長:清水 浩)は、2012年2月より約1年の期間で先行開発車事業第3号を行って参りました。この度、本事業の成果である「SIM-CEL」「シム・セル」(表1)が完成しました。
本事業は、2015年頃に量産化が出来ればと願う電気自動車の先行開発車の試作を行うことを目的とし、将来、電気自動車ビジネスに参入を意図している26機関(表2)からの参加を頂きました。
「SIM-CEL」は、1号車の「SIM-LEI」、2号車の「SIM-WIL」で実現した航続距離300㎞以上はもちろん、将来量産した時の信頼性と電気自動車の魅力をより多く発信するため車種展開することを目標に開発してまいりました。また同時に自動車の普及に欠かせない、加速感、乗り心地、居住性の中で、特に加速感に重視した次世代の電気自動車となっております。
「SIM-CEL」は株式会社SIM-Driveの基本技術であるダイレクトドライブ方式インホイールモータとコンポーネントビルトイン式フレームを採用したうえで、下記の特徴があります。
さらに次の特記すべき内容を含んでおります。
車名の由来
"CEL"は"SIM-Cool Energy Link"の頭字語を表します。これまでの社会は石油燃料や原子力など熱を排出するエネルギーに依存していました。SIM-Driveが提案する新しいエネルギー循環によって
余分な熱を排出しない(Coolな)再生可能エネルギーをより有効に利用することができるようになります。そんな願いを込めてこのネーミングしました。
加速感
モーター内構造を見直し、最大トルクを700Nmから850Nmへ拡大させたことにより、突き抜ける加速感を実現。0-100km/h 4.2秒、加速度0.7G以上を実現しています。清水浩が関わり、慶應義塾大学が開発した"Eliica"が8輪(8モータ)で実現した加速感を4輪(4モータ)で実現しました。
電費性能
搭載された電池を限りなく有効に使うことのできる世界最高レベルの電費性能を達成しました。この性能は次の技術により実現しました。
-アイドリングストップ装置に相当する機能を実装。それは停車時にインバーターからの出力を停止させ、停車時の電力消費を限りなく少なくする技術です。これにより航続可能距離20km (JC08)を伸ばすことができました。
-新しい技術の採用によりモーター内部の摺動抵抗を低減することに成功。(2号車比50%削減)
-理論空力造形から生まれるデザインにより、空気抵抗を極力減らしました。空気抵抗をあらわす数値であるCd値は0.199となっております。
74種類に上る技術の提供
SIM-Driveの先行開発車事業の特徴は、参加機関と協働して一台の先行開発車を作ることです。3号参加機関から48種類、1号、2号参加企業からは26もの技術を提供いただきました。(詳細はプレスリリース全文をご参照ください。 988KB)
ボディー、足回り
SIM-Driveの基幹技術である、「コンポ―ネントビルトイン式フレーム(CBF)」は2号車の「SIM-WIL」で同じプラットフォームから複数車種に派生させることができることをすでに実証いたしました。「SIM-CEL」では高トルク化されたモーターを支えるため、より高剛性の仕様となっております。アッパーボディーは、SIM-WILで採用したモノコックスチールスペースフレーム、「SIM-Drive Steel Space Frame(SSF)」の剛性をさらに高めながら軽量化。車体外板にはカーボン繊維などの化学素材を多用し、鉄板を採用した場合と比べ79kg軽量化を実現しています。
サスペンション、ブレーキ共に「SIM-WIL」を踏襲しながら性能向上を図りました。特にフロント、リアサスペンションのリンクレイアウトを見直し、アライメント特性の改善により、より優れた操縦安定性向上が実現しました。
デザイン手法
SIM-CELは新しいデザイン手法として、"理論空力造形"を採用しました。理論空力造形とは空力上最適化された水滴形状をベースとして、車体デザインをおこしていくSIM-Driveが開発した独自の手法です。理論空力造形の採用により短時間で空力に関して最適化されたデザインの構築が可能となりました。
スマート・トランスポーテーション
スマートハウス、スマートシティなどと電気自動車をつなぐ概念をスマート・トランスポーテーションと呼ぶことにしました。その目的は電気自動車を中心とし、情報、エネルギー、サービスをつなぐことによりスマートなエネルギー利用を実現することです。
電気自動車が大容量の電池を搭載していることと、再生可能エネルギー安定利用のために電池を必要としていることが補完関係にあることに着目し、両者をより積極的につなげる方法を考案し、電気自動車を中心としたサービス体系構想として確立しました。また、体系をSIM-iBeeと名付けました。
3号車ではこのサービス体系のコア機能の試作を行いました。具体的にはサービス利用者である電気自動車を含む、需要家と発電それぞれに端末としてエネルギー充放電装置、接続装置、電力量通信装置を設置し、これらからの情報を束ねてサービスを行うクラウド上のエネルギー管理システム、ユーザ向けサービスのひな型、さらにサービスユーザ向けの画面プロトタイプを作成しました。
コア機能は、複数の発電と充電の予定情報から、組み合わせる発電・充電を特定し、実際の発電・充電時の電力量情報を管理することにより、充電電力量の発電種類別の量を把握して可視化することにあります。この可視化された量を放電時の指標として任意の需要家に対して他のサービスとの交換を可能にする仕組みです。
この仕組みにより、再生可能エネルギーと電気自動車が相互の相乗効果で増えていくだけでなく、関連する多様なサービスや、電力設備投資の抑制など様々な効果をもたらす可能性を提供します。結果として地球環境に大きく貢献することが期待されます。
表1. SIM-CELの仕様
全長/全幅/全高 |
4840mm/1830mm/1400mm |
重量 |
1580kg |
定員 |
2名 |
駆動方式 |
アウターローター式 |
駆動輪数 |
4 |
最小回転半径 |
5.5m |
一充電航続距離 (JC08モード) |
324km |
走行エネルギーの消費量 (JC08モード) |
91.2Wh/km |
最大出力 |
260kW(1モーター当たり65kW) |
最大トルク |
3400Nm(1モーター当たり850Nm) |
0→100km/h加速時間 |
4.2秒 |
最高速度 |
180km/h |
電池容量 |
29.6kWh(リチウムイオン電池) |
充電時間 |
1h(CHAdeMO、80%まで) |
表2. 参加機関一覧
株式会社アルゴグラフィックス |
東京エレクトロン デバイス株式会社 |
宇部興産株式会社 |
中川特殊鋼株式会社 |
NTN株式会社 |
日本特殊陶業株式会社 |
株式会社三五 |
日本発条株式会社 |
GMB株式会社 |
橋本総業株式会社 |
株式会社ジャストオートリーシング |
平田機工株式会社 |
スタンレー電気株式会社 |
株式会社フジクラ |
住友重機械工業株式会社 |
三井不動産株式会社 |
積水ハウス株式会社 |
三菱電機株式会社 |
ダイキン工業株式会社 |
横浜ゴム株式会社 |
大同工業株式会社 |
株式会社 リチウムエナジー ジャパン |
ディーエスエムジャパン |
株式会社レニアス |
株式会社デンソー |
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五十音順、敬称略
※以上の参加機関に加え、非公開企業を含めた合計参加機関は26機関となります。
外観
株式会社SIM-Drive 広報担当:浅生(アサオ) 雄太
Email: contact@sim-drive.com
TEL:044-201-1014
FAX:044-599-6444